【有料配信】画面録画は違法?合法と違法の線引き
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有料配信を画面録画していい?
最近は、いろんなアーティストが有料ライブ配信をする機会が増えましたよね。
生配信だけでは「見たいところを見尽くせない」という理由から、画面録画をしている方・したい方も多いと思います。
その一方で、ジャニーズ事務所を筆頭として、様々な事務所・アーティストが「有料動画の配布・売買行為について厳しく対処する」との声明を発表しています。
有料配信を画面録画することは合法なのでしょうか?
この記事では、ライブ配信やNetflixなどの有料配信を画面録画することの違法性について解説していきます。
私的使用目的なら原則違法にならない
結論から言いますと、私的使用目的のための録画・保存は原則として違法にはなりません(著作権法30条1項)。
自分で楽しむために有料配信を画面録画すること自体は法律上は禁止されていないということになります。
よく考えてみるとテレビ番組の録画は日常的にすることですよね。これも私的使用目的の録画なので合法ということになります。
しかし、これには重大な例外がいくつかあります。
事務所やサービスによっては私的使用目的でも禁止の場合がある
法律上は禁止されていなくても、事務所やネット配信サービスによっては画面録画が禁止されているものもあります。
例えば、ジャニーズ事務所の配信については、
スクリーンレコード(動画キャプチャ)などを利用しての録画、および端末への保存はご遠慮ください。
https://www.fc-member.johnnys-net.jp/support_faq/detail/id/360042900251
とあり、画面録画が禁止されています。
また、Netflixなどの有料動画配信についてはそもそも画面録画しようとしてもできない設定になっているものもあります。
重要な例外1:コピーガードを回避してする複製は私的使用目的でも違法
最近の映画のDVDやCDなどには、複製ができないようにコピーガードがかかっているものもありますよね。
そうしたコピーガードを回避して複製した場合は、私的使用目的であっても違法となります(著作権法30条1項1号)。
重要な例外2:違法配信ファイルのダウンロードは私的使用目的でも違法
よく「違法アップロードや、違法と知ってそういったファイルをダウンロードする行為は違法です」というフレーズを耳にしませんか?
これは著作権法30条1項3号で示されており、違法にアップロードされたものと知ってダウンロードする行為も違法となります。
録画したものを配布・販売することは違法
ツイッターやインスタグラムなどに「有料配信配布します」「有料配信の販売をします」という書き込みを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
特にアイドルの有料ライブ後は、こうした有料配信のデータの配布や販売が横行しますが、これらは全て違法行為です。
具体的には、
- 私的使用目的以外(SNS上で配布する行為はこれに当たります)で録音する行為は著作者の複製権(著作権法21条)の侵害
- 録画を配布する行為は公衆送信権(著作権法23条)の侵害
となります。
権利者から告訴されると刑事罰の対象となる
著作権侵害に関する刑事罰は基本的に親告罪なので、著作権者からの告訴がない限りは起訴されることはありません。
有料動画配信など身近な著作権侵害については、権利者からの告訴があれば起訴され、処罰される可能性があるということになります。
これまではSNSへの違法アップロードについては黙認されていたところがあるようにも感じます。
しかし最近はジャニーズ事務所をはじめとした芸能事務所等が厳正に対処していくという姿勢を見せていますので、これから先処罰事例が出てくる可能性も十分あるでしょう。
わかりやすいサイト
著作権については知りたくても、なんとなく難しそうという印象があると思います。
著作権法について、身近な事例がわかりやすくまとめられたサイトとしてLDHのサイトが挙げられます。
「SNSのアイコンにアイドルの写真を使っていいの?」「アイドルがSNSにアップした写真を使って投稿していいの?」など様々な質問にわかりやすく解説してくれています。
アイドルなどのファンの方には身近なことばかりですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
最後に
この記事では、有料配信を画面録画することの違法性について解説してきました。
著作権は私たちにとって身近なものです。絵を書いたり、ダンスを踊るとその瞬間に私たちはそれらに対する著作者となります。
その一方で、SNSなどの発展によって私たちは同時に著作権を簡単に侵害できるようになっています。
最近は有料配信を見る機会は増えていますから、配信の規約などをよく読んで、録画が許される場合もあくまで私的使用のためだけに録画するようにしましょう。
著作権法は「文化を保護するための法律」です。皆様が好きな音楽も、アニメも、漫画も全てこれに含まれます。
エンターテインメントをこの先も守っていくためにも、しっかりとルールを守って楽しみましょう。