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【知っておきたい】二次創作は違法? 真面目に考えてみた

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二次創作って違法なの?

最近、「二次創作を許容しなければならない空気感と文化が嫌だ」といった内容の匿名ブログがTwitter等で話題になっていました。


※元記事は消えているみたいなので内容を見たい方はこちらになります→

https://archive.vn/CDACt

この記事では、二次創作が著作権上違法になるのかどうかについて、真面目に検討していきたいと思います。

注意していただきたいのが、この記事は二次創作自体を否定したいわけでは全くないということです

むしろ、二次創作が盛んになることで原作が盛り上がる場合があることも承知していますし、原作者が否定しない限り二次創作という文化は大切にされるべきだと思っています。

それでは、二次創作は違法なのかについて検討していきたいと思います。

結論は「場合により違法」。許可がないと全て違法なわけではない。

結論は、「ケースバイケース」だということです。

二次創作は一般に違法になる、なんてことは全くありません。しかし、どんな二次創作も違法にならないのかと言えば違法になる場合もあります

具体的にどんな権利を侵害する?

二次創作が侵害しうる権利としては以下のようなものがあります。(例は侵害例を示しています)

  • 複製権(著作権法21条):(例)イラストをトレースした
  • 翻案権(著作権法27条):(例)原作をもとにアレンジして二次創作漫画を作った
  • 同一性保持権(=著作者の意に反する改変をされない権利)(著作権法20条): (例)原作のイメージを損なうような二次創作をした

これだけ聞くと、「二次創作漫画を作ったら常に翻案権を侵害することになるの?」「少しでも原作を改変したら同一性保持権を侵害することになるの?」と思われるかもしれません。

でも実際はそんなことはありません。

実際の最近の(令和2年10月)裁判例を見てみましょう。この裁判では二次創作漫画が翻案権や同一性保持権を侵害したかについても争われました。

この裁判で問題となった二次創作漫画は原作の主人公等の容姿や服装という基本的設定を真似し、ストーリー展開を変えたというよくある二次創作だったのですが、

  • 基本的設定に変更を加えていないので同一性保持権侵害にはならない
  • 基本的設定の本質はストーリー展開ではなく容姿や服装に関する表現であるから、ストーリー展開に変更を加えただけなら翻案権侵害にもならない

という判断がなされています。

実際の裁判例を見ると、二次創作が違法となるのは比較的限られた場合であるということがわかると思います。

※判決文はこちら→

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/748/089748_hanrei.pdf

注意しておきたいこと

キャラそのものに権利があるわけではない

by Unsplash

著作権法は、一般的にアイディアではなく表現を保護する法律と言われています。

キャラクターそのものは抽象的概念(アイディア)であり、具体的表現ではないため、キャラそのものに著作権は発生しません。

一方、キャラクターが描かれたイラストは具体的表現として著作権が発生するという仕組みになっています。

私的利用なのでOK?

二次創作しても、私的利用の範囲内ならOKなのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、例えばTwitterなどのSNSにアップしたり、コミケなどで販売するとそれはもう私的利用とは言えないでしょう(純粋に家の中で楽しむだけならもちろんOK。)

親告罪なので著作者の告訴がない限り訴追されることはない

注意したいのが、「違法行為だからと言って直ちに逮捕・起訴などされることはない」ということです。

著作権法に反した場合でも、これらの罪は親告罪であるため著作者の告訴がなければ国家機関から訴追されることはありません。

そのため、たとえ違法行為にあたる二次創作を作者の許可なくしている場合でも、作者が黙認していれば特に問題にならないということになります。

二次創作で揉めたケースも実際ある

上記では、限られた場合にしか二次創作が違法にならないと紹介しました。

by Unsplash

しかし、二次創作をしたことで原作者とトラブルになったケースは実際にいくつかありますし(いわゆるポケモン同人誌事件やドラえもん最終話同人誌事件など)、裁判で最終的に「著作権法侵害にはならない」と判断されたとしてもそもそも裁判まで発展してしまうこと自体がいろいろな意味で大変です。

二次創作をする際は、

  • 原作のイメージダウンとなるような二次創作
  • お金稼ぎをするための二次創作

などは必ず控え、原作者とトラブルになることを避けることが大切でしょう。

万理華

神戸出身。法律家・占い師。法律家と占い師の顔を持つ作家。 学校で占いを学び、対面占い、メール占いとしてデビュー活動後、現在はチャット占いを中心に活躍中。累計...

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