生理痛には病気が隠れている?重い生理痛と子宮内膜症
ほとんどの女性が、生理時に程度の差はあれ生理痛を感じているのではないでしょうか?その中でも、特に生理痛が重くて「生理の時は何もできない」「鎮痛薬を飲んでも耐えられない」という方は注意が必要かもしれません。この記事では、生理痛に隠れているかもしれない病気について紹介します。
生理痛だと軽く考えておくのは実は危険!?
女性なら誰しもが生理やそれに伴う生理痛とうまく付き合っていかなければなりません。多少の生理痛があるのは通常です。
ですが、あまりにも重い生理痛がある方は、単に「生理痛」で済ませない方がいい可能性もあります。酷すぎる生理痛は、子宮内膜症という病気が原因である可能性があるからです。
子宮内膜症とは?
子宮内膜症とは、子宮内膜組織が子宮の筋肉の周りや子宮の周り、卵巣など子宮以外の場所に増殖する病気です。生理のたびに起きる出血により刺激されて炎症が起こり、生理時の痛みにつながります。
子宮内膜症になる原因は詳しく判明していませんが、生理の回数が増えると子宮内膜症の発生頻度が増加すると言われています。生理が始まるのが早かった人、妊娠している回数が少ない人、生理周期が短い人は生理の回数が多くなるため、そうでない人よりもリスクは高いといえるでしょう。
少子化や晩婚化で妊娠回数が減少している現代において、子宮内膜症の人口は増加しています。
子宮内膜症の症状
子宮内膜症の代表的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 市販の鎮痛剤だけではおさまらないようなひどい生理痛(特に、年とともに痛みがひどくなる)
- 性交痛(膣の奥が特に痛いことが多い)
- 排便痛
- 継続的な下腹部痛
- 排卵痛
- 生理の時の血の量が多い(塊が出ることも)
- 下痢
生理痛の痛みの程度としては、あまりに強い痛みで脳貧血のような状態になり意識が遠のく、などと体験談で表現されることが多いです。
注意すべき点としては、子宮内膜症の特徴としてひどい生理痛がよく挙げられ90%の患者が生理痛を訴えているとのデータもありますが、自覚症状として痛みがない場合もあります。
子宮内膜症を放置しておくとどうなる?
子宮内膜症が発生する場所として多いのが卵巣であり、卵巣で起こった場合生理のたびに炎症が起こって出血を繰り返すことで、卵巣内に血液が溜まっていきます(チョコレート嚢腫)。
卵巣内に血液が溜まってしまうと、卵巣本来の働きが失われてしまい卵巣障害を引き起こし、不妊につながります。
また自覚症状がないまま(もしくは心当たりがあるけれど放置していると)卵巣がどんどん肥大化し、お腹の中で破裂して緊急手術が必要になることもあります。
また卵巣ではなく子宮の筋層部分で子宮内膜症が起こった場合は、その部分が分厚く硬くなってしまう子宮線筋症になり、着床に困難をもたらす着床障害を起こすこともあります。これも不妊の原因となります。
子宮内膜症についてわかりやすい参考資料
文字だけで子宮内膜症について説明されてもイマイチイメージが湧かない…という方におすすめなのが以下の動画と体験談の漫画です。
助産師のシオリーヌさんという方が、子宮内膜症について約5分の動画にまとめて解説をされています。
画像を使ったり実際にどういった治療をするのかまで、優しく簡潔に解説されているためイメージが湧きやすくおすすめです。
こちらは元々生理痛がかなり重く、健康診断にて実際に子宮内膜症があると診断されたキクチさんの体験談です。漫画でまとめられているため読みやすいのがおすすめです。
中高生の時から生理痛が重く、でも産婦人科に行くことに対する抵抗から鎮痛薬で耐える生活をされていたそう。しかし出血量がかなり多く長時間むけのタンポンでも吸収し切れないほどであり、また痛みが酷すぎて意識を失うこともあったと紹介されています。
心当たりがある時は?
少しでも心当たりがある場合は、自己判断するのではなく産婦人科に行くことをお勧めします。
市販の鎮痛薬を飲んでもおさまらないようなかなりひどい生理痛や、回数を重ねるごとにひどくなっていく生理痛に心当たりがある場合は特に注意が必要です。
早期に発見することで病気の進行を抑え、不妊などを予防することが可能ですし、治療方法についても薬物療法と手術療法を組み合わせ、妊娠を希望するかなどに合わせて個別に決定します。
女性にとって身近な病気ですから、みなさまの周りにも子宮内膜症の治療を経験された方は実際にはたくさんいらっしゃることと思います。一度身近な人に相談してみるのもいいですね。
みなさまの健康を願っております。