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「名探偵コナン 純黒の悪夢」キュラソーの伏線・タイトルの意味に迫る

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ある晩、警察庁にとある黒服の女性が侵入した。女性は世界中に派遣されたスパイのリストを閲覧・記憶していたが、途中で見つかってしまい、逃走を試みる。

しかし公安警察の安室徹、FBIの赤井秀一たちの追跡により逃走は失敗。女性の乗った車は道路のはるか下に転落してしまう。

次の日、少年探偵団は阿傘博士に、東都遊園地・水族館へと連れて行ってもらう。

そこで日常を覆す出会いがあることを、知る由もなく……

ここ数年のコナン映画の中で特に面白いといわれている作品に「純黒のナイトメア」があります。

例えば、この映画の中では因縁があって憎み合っている人気キャラ、安室徹&赤井秀一・宿命の決闘シーンがファンの間で根強い人気を誇ります。

ちなみに安室徹は機動戦士ガンダムのアムロとその声優古谷徹さんを合わせたお名前、赤井秀一も同じく機動戦士ガンダム赤い彗星のシャアとその声優の池田秀一さんに由来するそうです。

この二人はシャアとアムロの対決をオマージュしているのですね。

二人の決闘シーンはまるでアクション映画。

冒頭のカーチェイスもそうですが、この映画には見る側が惹き込まれる様々な仕掛けがありますね。

そして本映画の魅力はストーリーの要となる女性、キュラソーにもあります。

ここからは、キュラソーにまつわるストーリー設定を詳しく見ていきます。

キュラソーの伏線・タイトルの意味に迫る

そもそもキュラソーって何?

キュラソーというお酒をご存知でしょうか?

オレンジの果皮を使って香り付けをされたリキュールの総称です。

南米ベネズエラから北に60km行ったところに、キュラソー島という島があります。

その島に入植したヨーロッパ人が、現地で育てられていた(QQQ自生していた?)ビターオレンジの皮を使ってリキュールを作ったことが、このお酒の始まりとされています。

今でも主に、ビターオレンジの果皮が使われているそうです。

映画のキュラソーって何者?

お酒の名前をコードネームに持つジン、ウォッカ、ベルモットたちと同様、キュラソーもまた「黒の組織」の一員です。

この映画は、彼女が警察庁に侵入してノックデータ(Non Official Cover=スパイのリスト)を閲覧・記憶してしまったことを発端に始まります。

リキュールにちなんだ物語構成

カラーカード

キュラソーというお酒には、ホワイトキュラソー、ブルーキュラソー、グリーンキュラソー、レッドキュラソー、オレンジキュラソーと色が5種類あります。

黒の組織のキュラソーが自分の記憶を引き出す時に使う5枚のカラーカードは、これらの配色になっています。

噴水ショーのライトアップ

映画の舞台である東都遊園地で行われる噴水は、とてもきらびやかなライトアップがされることで注目されています。その時の光の色も白、青、緑、赤、オレンジとそのままキュラソーの色と一致します。

このことが、ストーリーの要になってきます。

イルカのキーホルダー

遊園地にて記憶を失った状態で少年探偵団と出会い、一緒に遊園地を回っていたキュラソーは、立ち寄ったダーツショットゲームで3本ともすべてど真ん中のダブルブルに的中させます。

その景品として、歩ちゃんはピンク色、光彦君は緑、元太君は青いイルカのキーホルダーを貰い、彼女には後に白いイルカのキーホルダーが渡されます。

特に白いキーホルダーが表す彼女の人柄や性質は、物語のクライマックスに大きな爪痕を残します。

瞳の色

最初は黒いカラーコンタクトをしていた彼女ですが、実際の瞳の色は左目が青、右側の目は透明に近い色なのだそうです。

キュラソーの中でも特にオーソドックスなのがホワイトキュラソーとブルーキュラソーなので、そこと結び付けているのかもしれません。

特にこの透明な目は白いイルカと同様、彼女の人格やストーリーの核心に触れる要素です。

なぜタイトルが「純黒の悪夢」なのか

黒いキュラソーは存在しないのに、なぜこのようなタイトルなのでしょうか?

これは、キュラソーが真っ黒い悪夢から目覚めていく物語だからだと予想されます。

冒頭の警察庁でノックリストを閲覧していた段階のキュラソーは黒いスーツを身にまとい、両目は黒いコンタクトレンズを入れていました。

しかし見つかって逃走する際、安室との格闘でスーツのジャケットが脱げ、左目のコンタクトが取れてしまいます。

もう片方のコンタクトは、記憶喪失のまま少年探偵団と載った観覧車で5色の光を見て発作を起こし、医務室に運ばれた際に外されています。

その後記憶を取り戻したキュラソーは、組織の裏切者であるシェリー(灰原哀)を助けたるに、こんな風に言います。

「なぜ助けたなんてわからない。でも私は、どんな色にでもなれるキュラソー。前の自分より今の自分の方が気分がいい。ただそれだけよ」

この時既に、右目の色のように透明な純粋な気持ちでいるのでしょう。

迷いのない、すがすがしい言葉でした。

黒の組織にいた記憶よりももっと奥底に埋もれていた、本当の自分・気持ちを取り戻したのです。

黒のコンタクトが一つずつ外されて透明感を取り戻していくのは、彼女の運命の暗示であることが予想されます。そして取り調べを受けて以降、内面の変化を表すかのように服装も真っ白になっていますね。

その後彼女は少年探偵団を守り、彼女の存在が最後に確認された場所には、身元が判別できない死体と、黒こげになったイルカのキーホルダーが発見されました。

キーホルダーのように身体が真っ黒に焼かれても、最期の瞬間まで限りなく透明に近い純粋な気持ちでいることができたのでしょう。

この映画は真っ黒に染まっていたキュラソーが本当の自分を取り戻し、大切にしたいこととして純粋さを選び取る物語だったのではないでしょうか。

最後に

いかがでしたか?

キュラソーはファンからも人気のある登場人物ですが、それは美人であることだけでなく、彼女のストーリー性や純粋さにあるのかもしれません。

皆さんはこの映画を見てどう思いましたか?

私は光彦君の動きに目を見張りました。

キュラソーが発作を起こしたら迷わずコナン君に連絡を取り、何か言葉を発したらとっさにメモ帳を出して言葉をメモしていましたよね。しかも、知らないはずのお酒の名前をとても正確に。

光彦君、将来有望にもほどがあるでしょう。

独り言を失礼しました。 

様々な設定や伏線を知った状態で再び映画を見れば、新たな発見があるかもしれませんね。

鈴音

作家。東京都町田市生まれ。早稲田大学教育学部出身。 広告代理店営業職や携帯キャリア会社を経て、執筆業で独立。 ビジネス、文化、タレント等の取材記事執筆のほか...

プロフィール

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